オランダ1-1エクアドル
グループA/2022年11月25日(金)/ハリーファ国際スタジアム(ドーハ)/テレビ朝日


開幕前に日本代表と戦ったときから思っていたことだけれど、今大会のエクアドルは本当にいい。攻守にわたって全員でハードワークをして、小気味よくパスをつなげてゆく。今大会の出場国のなかではいちばん好きかもしれない。
この試合でもそんなサッカーで優勝候補といわれるオランダを圧倒してみせた。
まぁ、開始わずか6分でいきなり先制ゴールを奪われたときにはやっぱオランダ強すぎかと思わせたけれど――決めたのは23歳のガクポ――でもオランダがよかったのはそのゴールの場面だけって感じだった。
なんたって終わってみればシュート数わずか2本ですからね。なにそれって感じ。
まぁ、ボール保持率だけ観ればオランダが48%で、39%のエクアドルより10%ほど上回っているけれど、でも、まるでそんな感じではなかった。オランダがボールを持っても、ほとんど中盤で刈りとられてしまって、ぜんぜん前線へは運べない。一方のエクアドルは的確なチェックでボールを奪うと、見事なパスワークで前へ前へとボールを運んでゆく。どっちが優勝候補かわかったもんじゃなかった。
前半こそ1-0でオランダ・リードのまま終わったけれど、後半開始早々にエクアドルのカウンターからエース・バレンシアのゴールが決まって同点。結局それ以上スコアは動かなかったものの、最後までエクアドルの優位は揺るがなかった。
オランダはガクポの先制ゴールは見事だったし、この大会で初めて起用されたというGKノペルトが身長203センチ、DFの要ファンダイクが195センチを始めとして長身揃い。なんでも大会でもっとも平均身長の高い国なのだそうだ(サッカーファンにはおなじみの日向坂46の影山ちゃんが試合前の番組で教えてくれました)。
そんな高さと技術を兼ね備えた強豪国に対して、南米の中堅国が互角以上の戦いを仕掛けているんだから、こんな痛快なことはない。判官贔屓な日本人気質も手伝って、ついついエクアドル応援モードになってしまった。
ここまできたら、ぜひとも決勝トーナメントまで駒を進めて欲しいと思うんだけれど、ひとつ前の試合を観た限りだと、このグループはセネガルもけっこういいんだよな。ほぼ全選手が欧州リーグでプレーしているだけあって、技術がしっかりしていて侮れない。この両者が戦う第三節はどういう結果になるか、まったく予想がつきません。
エクアドルはここまでの全得点を叩き出しているバレンシアが後半途中で足を痛めて交替してしまったので、次の試合に出られるかどうか微妙そうなのが気がかり。彼がいないと苦しいんじゃなかろうか。無事を祈っています。せっかくここまでの大会得点王なのだから、どこまで点が取れるか見てみたい。
ということで、この試合がドローに終わって、オランダとエクアドルがともに勝ち点4としたことで、ひとつ前の試合でセネガルに負けて2連敗したカタールは、早々にグループリーグ敗退が決定してしまった。みごと大会一番乗り(悪い意味で)。
最終節の相手がオランダなのを考えると、カタールは勝ち点0のままで終わる可能性も大きい。南アフリカもグループリーグで敗退したけれど、あの国はちゃんと最後にフランスに勝っている(いまとなるとそれも驚きだけれど)。開催国が1勝もできないどころか、勝ち点1さえ取れないというのは史上初――というか、もはや最初で最後なんではなかろうか。カタールの試合では敗色濃厚になった途端に空席が目立つようになったというし、国民にも最後まで諦めずに代表をサポートする意欲がないのでは、そういう結果になるのも致し方ない気がする。
これじゃあ本当に金にものをいわせて出場権を買っただけじゃん。オリンピックは参加することに意義があるなんていうけれど、W杯も同じなのかは大いに疑問だよ。出たくたって出られない国がごまんとあるのに。なんだかなぁ……。
こんなことならカタールの分の枠をイタリアにあげて欲しかったぜ。
(Nov. 26, 2022)