日本1-1クロアチア(PK1-3)
ラウンド16/2022年12月5日(月)/アル・ジャヌーブ・スタジアム/ABEMA


決勝トーナメントの一日目の午後に熱が出た。
じつはわが家では、数日前から喉の痛みを訴えていたうちの奥さんが、その前日にPCR検査で陽性の診断を受けていた。娘も39度の熱を出して、一日遅れで陽性だと診断された。
僕はその時点で無症状だったけれど、家族ふたりが陽性なのに無事で済むわきゃない。当然のごとく、伝染るんです。
ということで、W杯の真っ最中に新型コロナウィルスに感染。決勝トーナメントに入ってからはずっと寝たりきだった。
まぁ、さいわい症状は重くないし、日中に寝てるので夜更かしするにはもってこいだったから、おかげで一日目、二日目の試合はすべてリアルタイムで観れた。観るつもりがなかった午前4時のアルゼンチン-オーストラリア戦も、試合中に目が覚めたりしたので、せっかくだから途中から観た。
ただ、観たとはいってもすべて布団に横になったまま、隣の部屋のテレビを横目で眺めるような形だったので、いまいち集中できない。そもそも病気のせいで文章を書く気力が湧いてこない(こんな駄文でも書くにはそれなりのパワーが必要なのです)。
ということでこの二日間の感想は省略。オランダ、アルゼンチン、フランス、イングランドという優勝候補が順当に勝ち上がって、大会もいよいよ佳境って感じになってきた。
さいわい、この日本戦の時点では熱も下がっていたので、三日ぶりに布団から抜け出してちゃんと観た。まぁ、たとえ熱があってもこの試合だけはテレビにかぶりつきで観たと思う。森保ジャパンが今大会の目標としてかかげたベスト8進出がかかった大一番。対戦相手は前大会のファイナリストにして、大会MVPのモドリッチを擁するクロアチア。
スタメンは権田、冨安、吉田、谷口、伊東、遠藤、守田、長友、堂安、鎌田、前田という11人。この日も当然のように3バックだった。
試合はドイツ戦やスペイン戦とは違って、前半守って後半反撃というパターンではなく、最初からせめぎあう互角の内容。でもって前半も残りわずかとなって、右のショート・コーナーから堂安が入れたファーへのクロスを麻也が折り返し、最後は大然が決めて日本が先制! 1-0で前半を終えて、日本代表がそのままベスト8達成かと思わせた。
でも、この1点を守りにいったのが多分敗因(個人的見解)。1点のリードなんかないつもりで、これまでの3戦のように後半の頭から三笘を入れて追加点を奪いにいっていれば、ベスト8に手が届いていたのではないかという気がして仕方ない。
でも森保はそうしなかった。この日は前半からメンバー交替なしで後半に臨んだ。でもって後半10分にトッテナムのペリシッチという選手に、なにそれってくらいにきれいなヘディングを決められ同点にされてしまい、そのあと三笘、浅野、酒井、南野、田中碧を入れて勝ちにゆくも、延長戦まで戦ってなお追加点は奪えず。
結局PK戦では1-3(南野×、三笘×、浅野〇、吉田×)という散々たる結果でクロアチアに屈した。4本中3本も止められるPK戦――枠を外すのではなく全員GKに止められた――なんて初めて見た気がする。
クロアチアはグループリーグからほとんどメンバー変更なしで戦っていたそうで、注目のモドリッチも決定的な仕事はしていなかったし――きわどいミドルが一本あっただけって印象(権田ナイスセーブ)――やはりチーム全体に疲労がたまっているのか、さほど出来がよいとも思えなかった。だからこそ日本が後半頭から積極的に追加点を奪いにいってくれなかったのが残念で仕方ない。最善を尽くした戦い方で負けたのならば諦めもつくんだけれど、まだできることはあったんじゃないかって思えてしまうところがなぁ……。
まぁ、そんなこといったら、両サイドに伊東と三苫を配して、南野、鎌田、久保、堂安らと組み合わせたゼロトップの布陣とか超~観てみたかったのに結局一度も試してくれなかったし。前線に大迫がいたらさぞやボールを収まっただろうってシーンが何度もあったのに、大迫を招集してないせいで、大然や浅野が無駄走りするところばかり見せられるし。一方でなぜだか招集した柴崎は一度も使わないし。なんなんだいったい森保。本当にあれこれ理解できない。
森保ジャパンを観てきた4年半って常にこんな風にがっかりしてばかりだった気がする。予想外にいいサッカーをして目標の一歩手前まではまではいくのに、一度たりとも最終目標には手が届かない。アジア杯しかり、東京五輪しかり、そして今回のW杯しかり。そういう意味ではとても森保ジャパンらしい結末だと思う。僕にはJFAがこんな森保に全幅の信頼を寄せている理由がまったく理解できない。
三笘の投入を遅らせたのは、延長戦も視野に入れて120分戦うことを想定してのことだったのかもしれないけれど、でももしもそうなら、それはもう心が守りに入っている証拠でしょう? 勝っているんだから、あと1点を積極的に取りにいってこそのチャレンジャーだろう。守るべきもののない国が守りに入ってどうする。
前大会のベルギー戦でも、西野さんの選手交替の遅れが劇的な逆転劇を招く原因になったと僕は思っている。つまり森保も前回と同じ轍を踏んでしまったわけだ。選手は確実に世界と戦えるだけの力をつけてきているのに、監督がこれではなぁ……。
スタッツを観ても前大会ファイナリストを相手にほぼ互角だし、今大会でもっとも内容がよかっただけに、勝ち切れなかったのが本当に残念だ。あぁ、もうひとつ勝ってブラジルと戦うところが観たかったよ……。
ということで森保ジャパンの冒険もこれにて幕。JFAは森保続投で考えているようなので四半世紀に渡って観てきた日本代表ともひとまずこれでおさらばだ。まぁ、次のW杯やアジア杯や日韓戦など、興味のある試合は観たくなっちゃうかもしれないけれど、でも森保が監督のうちはもう文章は書かない。
――というか、もし新しい監督になっても、日本代表はもう観ないかもしれない。いい年をしてこんな風に一喜一憂するのにもいい加減疲れたので。サッカーからはちょっと距離を置くほうがいいんじゃないかって気分でいる。
ということで僕が日本代表についての文章を書くのはもしかしたらこれが最後だ。
ばいばい日本代表。また逢う日まで。
(Dec. 06, 2022)