ポルトガル4-0ポーランド
グループリーグD/2002年6月10日(月)/全州ワールドカップ競技場(ジョンジュ)/NHK


優勝候補の一角と目されながら、初戦でアメリカに痛すぎる黒星を喫したポルトガル。対するは、こちらも格下と侮っていただろう韓国に完敗を喫したポーランド。後者は二ヶ月前の日本との親善試合でもいいところがなかったし、どうも早くもこのグループの最下位っぽいイメージになってしまっている。案の定、この試合でもポルトガルに圧倒される。
情けないことに僕は2年前の欧州選手権で何度も見たはずのポルトガルというチームがどんなだったかをまったくといっていいほど覚えていない。昨日の日本代表の初勝利に対する白けたリアクションといい、なんだかワールド・サッカーは見るだけ無駄なんじゃないかという気もしてきた。まあそれはそれとしてあとで考えるとして。
この試合、始まって数分でポルトガルの選手の技術の高さに驚く。おおっ、このチームは確かに上手いに違いない。フィーゴは序盤あまり動きがないように見えたからともかくとして、ジョアン・ピントとかセルジオ・コンセイソンとか、こういう上手い選手が前の方に複数いるチームが、なんでアメリカに負けるんだと不思議だった。今日の試合じゃよくわからなかったけれど、DFに問題があるのだろうか? ちなみにこの試合、ルイ・コスタはスタメンから外れた。
試合は前半15分にジョアン・ピントからのパスを9番のパウレタが決めてポルトガルが先制。その後、試合開始前から降っていた雨がかなり激しくなったので、中盤でのパス回しが武器のポルトガルには厳しいんじゃないかと思ったのだけれど、そこは一流の選手たち。これくらいの雨の中では乱れもしない。特別あぶない場面もなく、前半はそのまま終了する。
雨足が弱くなった後半は最初のうちこそポーランドが反撃を見せるものの、その後はもう一方的なポルトガルのペース。フィーゴとルイ・コスタ(途中出場)のアシストを受けて、パウレタがハットトリックを達成。さらにはルイ・コスタも得点を重ね、4-0でポルトガルが圧勝した。
それにしても終盤のポーランドのディフェンスはスカスカだった。そんな隙だらけのディフェンスの間を自由気ままに行き来するポルトガルのパス回しの見事なこと。なるほど、村上龍が夢中になるのもわかる。
それとFWパウレタの精力的なプレーが素晴らしかった。前線からがむしゃらにボールを奪いに行く積極性。カウンターからのフィーゴのクロスを相手DFと競り合いつつ滑り込みながら押し込んだ2点目、ゴール前でフリーでボールを持ち、鋭い切り替えしでDFをかわして打った3点目とも文句なし。あわや4点目かという場面もあったし、MVPは間違いなく彼だろう。
それにしても韓国は苦しくなった。今日の試合でアメリカと引き分けて、勝ち点4で並んだまま迎える最終戦の相手がなんとこのポルトガル。対するアメリカは今日負けて予選リーグ敗退の決まったポーランド。次の試合に負けても予選突破の可能性が高い日本とは反対に、勝ち抜けの最終ハードルはとても高くなってしまった。韓国には頑張ってもらいたいものの、ポルトガルのサッカーももっと見たい。願わくば厳しい欧州予選を勝ち抜いてきた意地を見せて、ポーランドがアメリカに勝ってくれるといいのだけれど。今日の試合を見る限り、あまり期待はできそうにない。うーん。
(Jun 11, 2002)