負けた、負けた、負けた~。前半12分、中田浩二のパスミスからCKを取られ、そこからモヒカン頭のダバラという選手にヘッドで決められた。なんでそんなにフリーなのって感じの、あまりにもイージーな失点だった。でもってそれがそのまま決勝点になってしまった。その後に決定的なピンチというものがほとんどなかっただけに、あのセットプレーでの集中力の低さが悔やまれる。
それにしてもトルシエが最後の最後でやってくれた。降りしきる雨の中でのこの試合、トルシエはこれまでの三戦を戦った柳沢と鈴木のツートップではなく、西澤のワントップに、アレックスと中田の二人を1.5列めに起用するという、これまでに試したこともないような戦術で挑んだ。アレックスはともかく、ここまで出場機会のなかった西澤の起用には嫌な予感がしたんだった。
まあ、そうは言っても前半に関してはこのフォーメーションも決して悪くはなかった。西澤こそいまいち仕事ができていない感じだったものの(彼は後半は鈴木よりもよかった)、この大会初のスタメンのチャンスをもらったアレックスが持ち前のスピードを生かして再三のチャンスを演出する。惜しいFKがバーをたたく場面などもあり、何度も場内を沸かせてくれた。結局前半は0-1のまま終わってしまったものの、この勢いならば後半には期待が持てるだろうと思った。
ところが。トルシエは後半の初めからこのアレックスを交替させてしまう。訳がわからない。僕も後半開始からの選手交替はありだと思っていた。右サイドの明神が下がったままで攻撃への貢献度が低かったので、ここに市川を入れて攻撃に幅を与えるという作戦はありだろうと。そうしたらそのとおり、トルシエは前回同様、後半最初から稲本を下げて市川を投入してきた。そこまではいい。しかしなんとそれと同時にアレックスも鈴木に替えてしまう。なんだそりゃ。前半でもっとも相手ゴールを脅かしていた選手を引っ込めてどうする? そもそも今日に関しては稲本の交替だって疑問だ。負けてる試合でこの大会のラッキーボーイ的存在である稲本を引っ込めてどうする?
案の定、この交替で後半の日本の攻撃は前半よりも確実にグレードダウンしてしまった。期待された市川はほとんど攻撃参加できないし、鈴木はいつもどおりの消極的プレーに終始する。ゴール前でほとんど前を向くことができなかった。今日に限っては全然いいところなし。試合は膠着状態のまま、時間ばかりが過ぎていく。
そして残り5分を切った時点でトルシエは最後のカードを切る。それが市川に替えての森島の投入だ。なんだそりゃあ。いくら出来がいまいちだからって元気な市川下げるな。なに考えてんだ、あのフランス人は。
結局、その後も日本は攻め込みながらもこれといったフィニッシュの形を作れないまま終わってしまった。なんともストレスの残る試合だった。トルコが思っていたよりも恐くなかっただけに、この完封負けは非常に悔しい。
とはいえ今日の日本代表はミスが多かったのも確かだった。失点を招いた浩二のパスミスはあまりにお粗末だったし、そのほかにもおいおいと思うシーンが再三あった。そういう意味では負けるべくして負けたのかなとも思う。
それでも負けたあとに大半の選手が本気で悔しそうにしていたのには救われた。涙を浮かべて空を仰いだ鈴木、恥も外聞もなく号泣していた戸田、アレックス、そして市川。そう、今日の試合でもっとも悔しい思いをしただろう市川。彼らの涙がこれらからの日本をより強くしてくれると信じる。そんな選手たちの中で、出場機会をもらえなかった悔しさを感じもさせず、笑顔を浮かべていた柳沢には正直がっかりした。
最後に中田英。やってくれてあたり前という気がしていたので、この大会ではほとんど名前をあげなかったけれど、四試合とも十分な働きを見せてくれたと思う。ご苦労さま。
それにしても一次リーグでの敗退を予想していた僕からしてみれば十分過ぎる今大会の日本代表の成績だというのに、この不完全燃焼な気分はなんなんだろう。
(Jun 18, 2002)