レッド、ホワイト&ブルース
マイク・フィギス監督/2003年/アメリカ/DVD
ブルース生誕100周年記念と銘打って、マーティン・スコセッシの監修により製作されたブルースにまつわる映像作品7編のうちの一作。BOXで購入したはいいけれど、なかなか見る時間が取れなくて困りもののシリーズなのだけれど、とりあえず手始めに、ヴァン・モリソンの登場するこの作品を見ることにした。
これはイギリスでのロックの誕生において、ブルースがどういう役割を果たしてきたかを、ミュージシャンたちのインタビューを通じて辿ってゆくというドキュメンタリー。ジェフ・ベックのギターをバックにした、ヴァン・モリソンとトム・ジョーンズのスタジオ・セッションの模様も収録されている。 『マーズ・アタック』 や 『恋はメキメキ』 でのおバカな印象しかないトム・ジョーンズが、実はブルースを熱く語るタイプの人だったとはちょっと驚いた。この人は終始ジェフ・ベックとペアで登場、セッションもヴァン・モリソンは初っ端の一曲だけで、あとはほとんどトム・ジョーンズの独壇場という印象だ。ヴァン・モリソン・ファンの僕としては、トムさんちょっとばかりがんばり過ぎと言いたくなる。
インタビューに登場するミュージシャンはこれら三人のほか、エリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッド、ミック・フリートウッド、ピーター・グリーン、B.B.キング、ジョージー・フェイム、エリック・バートン、ロニー・ドネガン等。そのほかにも僕が知らない人たちが多数出演している。DVDのクレジットにはビートルズやストーンズの名前もあるけれど、これらはちょろっと過去の映像が出るだけ。たったあれだけで名前を出すのは詐欺みたいなものだ。
印象的なのは、イギリスの若者がブルースを演奏し始めてロックが生まれ、それが本国アメリカに逆輸入されて初めて、ブルース・ミュージシャンたちが日の目を見ることになったという話。ルーツ・ミュージシャンであるはずのB.B.キングが、ストーンズやビートルズについて、「彼らがいなかったら今の自分はなかった」と、まるで逆のことを言っているのが興味深かった。
(Apr 10, 2005)