ブラジル3-1クロアチア
グループA/2014年6月12日(木)/サンパウロ/フジテレビ


さぁ、始まってしまいました、2014年FIFAワールドカップ・ブラジル大会。
今年はプライベートでいろいろ悩みがあって、まったくW杯モードが高まっていないんだけれど、だからといって、四年に一度の祭典を横目で見てやりすごすわけにはいかない。
そろそろ五十代も間近にせまり、寄る年波に負けまりで体力的に自信がないので、どれだけつきあえるかわからないけれど、とりあえず今回もできる範囲で書きます、ブラジルW杯のテレビ観戦記。
さて、ということで開幕戦。開催国ブラジルの対戦相手をつとめるのはクロアチア。
ブラジルというと、去年おととしと日本代表がぼろ負けした印象が強烈で、今回は母国開催だし、めちゃくちゃ強いんじゃないかと思っていたんだけれど、この開幕戦の出来はそれほどでもなかった。西村さんの疑惑のPK判定がなかったら、ドローで終わっていたんじゃないかと思ってしまうような試合内容だった。
とにかく、ボール保持率が高い割には、攻撃的なポジションの選手が軒並みボールタッチが少ない。オスカルは運動量が多くて、攻守にいいプレーを見せていたけれど、あとの、ネイマール、フッキ、フレッジらはどこにいたのかよくわからない。全体的にボールは回しているんだけれど、得点の匂いがしないというか。あまり怖さがないというか。この日のブラジル相手ならば、日本代表もそれなりにいい勝負ができそうな気がした。
まぁ、まだ助走段階だから、エンジンが温まっていないってことなのかもしれない。なんだかんだいって、日韓大会で優勝したときにも、それほどいいチームって印象はなかったし。こういうときのほうがブラジルはいい成績を残しそうな気もする。
対するクロアチアは、正統的なヨーロッパのチームって感じ。ガタイのいい選手たちがしっかり守ってボールを奪うと、少ない手数で素早く前線までボールを運んで、ちゃんとフィニッシュまで持っていくという。
そんなクロアチアの攻めが功を奏した形で、左サイドからのクロスがブラジルの左SBマルセロ(見た目はカーリーヘアの長友というか久保田利信似で、すごく性格よさそう)のオウン・ゴールを誘って、ブラジルがまさかの先制を許す。大会初ゴールがオウン・ゴールってのは、さすがに史上初らしい。満員のスタジアムにはリアクションに困ったような空気が漂う。
まぁただ、そこは王者ブラジル。不運な1点のビハインドくらいでは動じることがない。そして今大会、そのブラジルの期待を一身に背負うと言われている男、ネイマールが違いを見せつける。グラウンダーのミドル・シュート、それも左足での同点弾。
決していいシュートではなかったけれど、シュート・チャンスを見逃さずに、右のゴール・ポストにあたるコース、さすがにそこはGKも手が届かないってところへボールを流し込んでみせるあたりがすごい。ボールタッチは少なくても、ここぞで試合を左右するプレーをしてみせるんだから、ネイマール、やはりただ者じゃない。
前半はこのゴールで1-1で折り返し。後半も半分がすぎるまでは得点が動かなかったし、先に書いたように、ブラジルも出来がいまいちだったので、これはもしや開催国がドロー発進なんてこともあるかと思っていたら、そこで試合を動かしたのが、なにそれってPKの判定だった。
この試合の審判団は、なんと西村雄一氏が主審をつとめる日本人三人。
おぉ、W杯の開幕戦の主審が日本人!ってんで、ちょっぴり誇らしく思っていたのだけれど、そこであの判定ですよ。相手DFに肩に腕をかけられたフレッジが大げさに転んだと思ったら、いきなり笛が鳴ってPKの判定。えぇ~?! なにそれ。
フレッジの倒れ方があまりにわざとらしかったので、テレビで観ているかぎり、PKなんてとてもあり得ない感じだったのだけれど、西村さんからの角度だとそうではなかったんだろうか。よくわからない。
その後もクロアチアの絶好機がキーパーチャージらしき判定で認められなかったり、ブラジルのダメ押しとなるロスタイムの3点目(オスカルの見事なトゥーキック!)につながるバック・チャージがノー・ファールで流されたりと、クロアチアには不利な笛が目立った。
決して西村さんの判定が誤審だらけだったといいたいわけではないのだけれど、なまじクロアチアが不運な同点ゴールに気落ちすることなく、同点に追いつこうと王者相手に懸命に攻め立てていただけに、なんとなく気の毒に思わずにはいられなかった。
西村さんはPKの前まではあまり笛を吹かず、つつましやかな判定をしていて好印象だっただけに、途中から妙に目立ってしまうことになったのがどうにも残念だった。
決勝点となったPKを蹴ったのは、これもやはりネイマール。クロアチアのGKがシュートコースを読み切ったにもかかわらず、ボールはその手を弾いてゴールネットを揺らした。PKってコースだけではなく、キック力も大切なんだなって、ネイマールに教わりました。あれが止められないあたり、やっぱこの子はただ者じゃないとあらためて思った。
まぁしかし、このグループはブラジルの1位抜けはまず堅いにしろ、クロアチアの出来がこれだけよいと、メキシコ、カメルーンとの2位争いはそうとう熾烈そうだ。クロアチアのこのあとの試合も観たくなってきてしまった。
でもさすがにそんな時間の余裕はなさそうな。今大会は時差12時間で日夜が逆転しているから、このさき平日は睡眠不足で大変そうです。
(Jun 13, 2014)