ブラジル1-7ドイツ
準決勝/2014年7月8日(火)/ベロオリゾンテ/Eテレ


よもや世界中の誰ひとり想像だにしなかった結末。開催国のブラジルがドイツに7失点の屈辱的大敗を喫して、準決勝で力果てるの巻。ネイマールの怪我よりも、純粋にサッカー的な問題なだけに、この敗北のほうがよりショッキングかもしれない。
試合前の予想では、攻守の要を欠いたブラジルが一致団結してドイツに立ち向かい、意外といい戦いをしてみせるのではないかという期待もあったし、キックオフからしばらくは、積極的に攻めて出たブラジルの姿勢に好ゲームの予感をおぼえたりしたんだけれども。
悲劇の幕開けとなるドイツの先制点が決まったのは、わずか11分のことだった。ドイツの右サイドのCKから、ファーサイドにいたミュラーが無情のゴール。
このシーンを見て、僕はなにやってんだブラジルと思ったんだった。だって、ミュラー、フリーだよ? 大会得点王をめざそうって選手を、セットプレーでフリーにしているって、あり得なくない?
はたして、もっとあり得ない展開が待っていたのは、それから10分ちょっとあとのことだった。ドイツが見事な連係からクローゼのゴールで追加点。そしてこの2点目でブラジル選手の緊張の糸が切れてしまったらしく、そこからはもうドイツがシュート乱れ撃ち状態。クロースの2発にケディラ(この人も今大会けっこうめだっている)のゴールで、わずか6分のあいだに、スコアはあっという間に5-0……。
勝負あったとかいう以前の話で、こんな風に前半30分過ぎには試合は終わってしまった。日本代表以外でこんなにいたたまれない気分になった試合って初めてだよ。サッカーにコールドゲームがないのを残念に思ったのも……。
ドイツが恐ろしいのは、この展開で後半にもさらに2点を奪うところ。どうやら武士の情けに該当する言葉はドイツにはないらしい。
まぁ、その2点がクローゼに替わって途中から出てきたシュルレってのもすごいけどね。あまりにすごすぎて、最後は自虐的になったブラジル人がドイツを応援し始める始末だったし。最後に1点を返したオスカルは、逆にブーイング浴びたりするし(まぁ、オスカル君もその時間帯にならないと得点できないってのはね)。
ここまで悲惨な敗北もめったにないだろうって点で、まさに歴史的。誰もが一生忘れられないような強烈な試合だった。ネイマールが母国の優勝を願って「僕にはまだ夢がある」といった、というような話を聞いたけれど、まさかこんな悪夢が待っていようとは……。
クローゼはこの日のゴールでロナウドと並んでいた大会通算得点王ランキングで単独トップに躍り出ている。それもまたブラジルの凋落の象徴のような気がしてくる。
(Jul 09, 2014)