男はつらいよ・純情篇
山田洋次監督/渥美清、若尾文子/1971年
宮本信子と森繁久彌(二人とも若い!)親子の再会という豪華な配役のエピソードを前ふりにして、またまたとらやに下宿することになった美女に寅さんが振られるという話。
今回は売れない作家を夫に持つ家出妻が相手だ。これはちょっと寅さんには荷が重い。独身女性でさえ手に負えない寅さんの手に負えるはずがない。
それでもその人──夕子さんでしたっけ──が寅の気持ちを受け止められないことを申し訳なく思い、きちんと話をつけようとする、という展開はいい。今までの女性は寅の気持ちに気づいてか、気づかないでか知らないけれど、しらばっくれているようなのばっかりだったから、こういう人の方が好感が持てる。彼女の遠回しなほのめかしに対して、寅次郎は相手が話しているのが自分のことだと気がつかない、という困った展開もこのシリーズならではだ。とても上手いと思った。
ま、寅さんが恋わずらいで寝込んでしまうという展開はいかがかなものかとは思うけれど。
(Aug 18, 2005)